理事長挨拶
この度、日本医学放射線学会 理事長に就任いたしました大阪大学の富山憲幸です。日本医学放射線学会は昭和25年3月6日に設立された歴史ある学術団体です。事業内容としては放射線科学及びその関連分野に関する学術について研究発表、知識の交換、会員相互及び国内外の関連学術団体との連携協力等を行っております。会員数は年々増加し、現在1万人を超える規模となりました。このような歴史ある大きな学会の舵取りを任されたことに身の引き締まる思いです。
皆様ご存じのように、1895年にレントゲン博士がX線を発見されてから放射線医学がスタートしました。その後、CTやMRなどの画像診断装置や放射線治療装置などの開発が進んだわけですが、これら放射線関連機器の進歩は著しく、その速度は年々加速しているのではないかと思われます。放射線医学の発展は技術革新と密接に関わっており、近年では画像認識が可能な人工知能やフォトンカウンティングCTなど新しい技術が次々に出現しています。この放射線医学を先導するのはこれまで多くの技術革新に関わり、柔軟に対応してきた放射線診療関係者であり、そのサポートを行うのが日本医学放射線学会の大きな役割だと考えています。放射線診療の需要の増加に伴って、学会の役割が拡大しており、今では22個の常置委員会と9個の特別委員会、8個の小委員会が設置されており、各委員会が活発に活動しています。
放射線科専門医は日本専門医機構の基本領域として、すでに機構認定の専門医研修が進んでいます。またサブスペシャリティ領域として、放射線診断専門医と放射線治療専門医、それに放射線カテーテル治療専門医が機構認定されました。適切な専門医研修を通した教育により、十分な知識・経験を持ち患者から信頼される専門医の育成に努めてまいります。放射線科医の人数は徐々に増えてはいますが、欧米に比べるとまだまだ少ない状況です。学会の広報活動の一環として、放射線医学の魅力をアピールしながら放射線科医を志す若い医師を増やしたいと思います。
ここ数年世界情勢に大きな不安要素がある中で、国際交流の必要性をより一層感じております。新型コロナウイルス感染症は昨年5月に2類から5類に移行し、経済活動をはじめ様々な日常生活が徐々にコロナ禍前の状況に戻りつつあります。学会・研究会においてもコロナ禍前の規模での現地開催が可能となり、途絶えていた海外との行き来も復活しています。今後は学会の国際交流及び学術集会の国際化を進め、日本のプレゼンスをより世界にアピールして参ります。
放射線医学の進歩・普及・啓発を図るとともに、安全で質の高い放射線医療の提供を通して、国民の健康と福祉の増進に寄与していきたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
公益社団法人 日本医学放射線学会
理事長 富山 憲幸
(大阪大学 教授)