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2011年01月24日
海外名誉会員からのメッセージ「透明人間化する放射線診断医」
「透明人間化する放射線診断医」”The Invisible Radiologist”
本文は、Radiology (2011; 258;18-22)掲載の Gary M.Glazer先生とJulie A.Ruiz-Wibbelsman先生が執筆された”The Invisible Radiologist”の翻訳です。
画像技術の進歩、画像診断に関する研究の推進により、放射線医学(診断学)は現代医学・医療に大きく貢献しています。にもかかわらず、その担い手である放 射線診断医は、患者から見えない存在であるがゆえに、社会からその存在意義や貢献度を正当に認められていない現状があります。なぜ放射線診断医は患者から これほど見えない存在になってしまったのか、そしてこのまま“見えない存在”であり続けることが放射線医学そして診断医に何をもたらすのかについて、歴史 的経緯を含めて論じたのが本論文です。そして分子生物学の進歩を背景とした個別化医療が確立されつつある今こそ、放射線診断医が患者からしっかり見える存 在として医療チームに加わっていく、またとない好機であることを示しています。
Stanford大学放射線科主任教授であるGary M.Glazer先生は、放射線診断学分野における日米交流に長年にわたり大きく貢献されてきました。奇しくも第70回日本医学放射線学会総会に、海外名 誉会員として出席され、ご講演される予定です(Honorary Awarding Lecture 4月7日午後3時40分-4時40分予定)。海外名誉会員からのメッセージとしてご一読いただき、近未来における放射線診断医のあるべき姿についてお考え いただければ、幸甚です。
本論文の翻訳は、発案者である日本医学放射線学会名誉会員竹川鉦一先生が、執筆者Gary M.Glazer先生とRadiology Editor であるHerbert Y.Kressel先生の許可を得て実現しました。改めて、3人の先生に深い感謝の意を表します。
(詳細は末尾の参考資料を御参照ください。また本論文中の歴史的経緯、病理学に関する記述などで我が国には当てはまらない部分があることをおことわりしておきます。訳が到らない点などお気づきのことがあれば、学会事務局あるいは大友までお知らせ下さい。)
大友 邦
第70回日本医学放射線学会総会 会長
東京大学大学院医学系研究科放射線医学講座